庭でガーデニングや家庭菜園を楽しんでいると必ずや遭遇するナメクジ。
大切にしている野菜や花から守る為に、身近な駆除方法といえば塩やビールが有名ですよね。
どうやら塩は100%退治できるわけでもなく、ビールに関しては普段あまり飲まない方にとって購入してまで行うのは抵抗があるものです。
そこでビールより身近なものとして注目を集め続けているのが「コーヒー」なんですね。しかも今回使用するのは手軽なインスタントコーヒーです。
えっ!?コーヒーでナメクジ駆除できるの?
って思われた方の為に、実際にやってみました。
果たして効果があるのでしょうか?また即撃退可能なのかも検証しました。
ナメクジ駆除がコーヒーで本当にできる?
今回準備したのは、
・インスタントコーヒー
・水(コーヒー粉に対して2倍~2.5倍量)
・容器
この三つです。
レギュラーコーヒーでも良いのですが、発見したら即退治したいですよね。ですから、すぐ作れるという点でインスタントコーヒーに軍配が上がります。
コーヒーのメーカーは、安いネスカフェのクラシックブレンドを使用しています。安価で販売されているコーヒーですね。味も特段に美味くもないですが、不味くもないです。大量に使える節約志向のコーヒーです。また、お湯の方が溶け残り感が無くてよいのですが、退治効果があったのが「お湯?それともコーヒー?」と判別しづらくなることを避けたかったので水にしました。溶け残りはしますが、水の方がパッと作れます。
インスタントコーヒーで実験開始!
まず高濃度コーヒー液を作っていきます。なんか汚い写真ですみません、ナメクジが逃げる前にと非常に慌てていましたので。
容器は直径5.5~6cmのものに液体を深さ0.5~0.6cm程入れましたが、2匹では余ってしまいました。意外と少ない量でいけるものですね。
おそらく上記の量で4~5匹以上はいけるかと思います。
<作り方>
① 容器にコーヒー粉を適量入れる。
量はナメクジの数に合わせます。
② ①に2倍~2.5倍量の水を入れる。(希釈する)
だいたいの目分量で大丈夫です
③ 指でかき混ぜて溶かす。
スプーンより人肌の方が溶けるかなと思い・・・あれ?気休めですか?すみません。もちろん完全に溶けませんでした。逆にいうと溶け残っていても大丈夫です。
以上、完成です。かかった時間15秒程です。エスプレッソ以上の高濃度のコーヒー液になっております。
それでは早速、ナメクジにかけてみたいと思います。
かけた瞬間、這いずっていますが動きが少々おかしくなりました。
その時の様子を撮影しました。
もがき苦しんでいるかのようにねじれています。明らかに異常な行動です。
その後、大きい個体には仕留める為に2回程(合計3回)かけました。気長に待てるなら1回でも効果があるのかもしれません。小さめの個体なら2回で大丈夫でした。
かけてからおよそ30~40後にはその場で動かなくなりました。
上の写真は1時間半後に撮影したものです。
駆除剤として効果ありということですね。しかも天然で安全です。
コーヒーかすによる忌避剤(寄せ付けない)より効果的な気がします。
今回は遭遇したケースでの退治方法でしたが、出来る限り遭遇せずに退治したい方、広範囲において手っ取り早く駆除したい方は、やはり粒剤タイプの駆除剤に頼ることも手でしょうか。
>>・ナメクジ駆除剤のおすすめ。畑やペット近くでも使えるものは?(記事)
失敗例もあります
インスタントコーヒー粉を極少量にして半透明な薄いコーヒー溶液を作ってみました。
アバウトですが、底が見える程のキャメル色した薄さです。
その薄い液体を上と同じ個体のナメクジにかけても、活発に動き回っていました。人間と同じように覚醒したかのようですが、真相はわかりません。
結論、あまりにも薄すぎると即効果を感じることは出来ません。(もしくは効いていないのかもしれません。)
なぜナメクジ駆除にコーヒーが効く?<理由>
なぜ駆除効果があったのでしょうか?
それは、コーヒーに含まれる成分「カフェイン」と関係しているからですね。
2002年に米国で発表された研究の論文によると、
・ナメクジの一種(Veronicella cubensis )を土に潜めさせておいて、2%のカフェイン溶液でその土を湿らせたら、3.5時間後にはわずか25%のナメクジしか土の中に残っておらず、48時間後には全て土の中から逃げ出し、92%は死んだ。
・濃度0.01~2%カフェイン溶液の浸した白菜の食害が減少して食べなくなった。
・濃度1又は2%のカフェイン溶液を大きなナメクジの体に噴霧すると混沌としてもだえ、土の中に潜り込んだ数尾以外は死滅した。
・カフェイン溶液をいれたシャーレにカタツムリを入れ顕微鏡で観察。不規則な心拍を発症し、0.5と2%の濃度では96 時間後に死滅。
・カフェインがどのようにして軟体動物に効くかはわかっていないが、神経系に損傷を与える可能性があることを示唆。
のようなことが書かれています。原文が英語なのでニュアンスは微妙に違うかもしれませんが、可能な限り要点のみをまとめてみました。
これらの情報は、米国農務省(USDA)の研究チームから発表されているものなので信頼性の高いものだといえます。
<参考文献>Hollingsworth, R. G., Armstrong, J. W. & Campbell, E. Caffeine as a repellent for slugs and snails. Nature 417, 915 - 916 (2002).
ちなみに米国農務省のホームページは日本の農林水産省のサイトからもリンクでつながっています。
つまり、カフェインは神経系に損傷を与える可能性もあるのではないかと考えられているということです。
加えて、天然由来のカフェインは環境に優しく、ナメクジ駆除剤の代替品の可能性も秘めていることが取り上げられていました。
ですから、ナメクジ・カタツムリの駆除に「コーヒー」は効果があるといえるわけですね。