雨が続くジメジメした梅雨時期に大量に発生する『ナメクジ』。野菜作りをしている時、庭や家の外壁、玄関先で遭遇することが多いのでないしょうか。
家庭菜園においても、発芽したばかりの柔らかい苗は食害に遭いやすく、せっかく植えたばかりの野菜でも大事な生長点をつまれてしまっては悲しいものです。ナメクジは防虫ネットや不織布をしていても隙間から入ってきます。
管理人もナメクジには参っている一人です。庭にはものすごい量のナメクジがいます。雨天時には、家の外壁には必ず這っていますし、野菜や花の被害も相当なものです。ポットに種まきをして発芽した野菜や花は90%の確率で食べられています。そして一ポットに付、一匹は住処となっております。
畑で収穫後のマルチをはがせば、およそ30匹以上の軍団ナメクジと遭遇しますし、風呂場まで入ってきたなんてこともあります。それにはギョッとしました。しかもナメクジの天敵、コウガイビルまで発見しております。細長くて黄色の生物ですね。
なぜこんなにも多いのかと聞かれると「環境」のせいですね。
・ガーデニングや家庭菜園をしている⇒餌がある。
・庭一面が砂利を敷いている⇒隠れる場所がある。
少ない内は一匹ずつ駆除していますが、大量発生する時期はキリがありませんよね。時間も非常にかかります。手っ取りば早くて楽に退治できる方法がないのでしょうか?
それでは、早速ナメクジを駆除・退治する方法をまとめてみました。
まずナメクジを駆除・退治する前に生態を知る
ナメクジの生態
<性質>
体長5~6cm程の大きさになるナメクジ科の軟体動物です。虫ではなく巻貝の仲間ですが、カタツムリはカタツムリ科に分類されています。寿命は平均で2〜3年ほど。
<種類>
日本で見かける種類はナメクジ・ヤマナメクジ・ノハラナメクジ・チャコウラナメクジの4種ですが、代表的なのはチャコウラナメクジです。
<食性>
主に植物を食べます。落ち葉や新鮮な葉や花の部分といった幅広く食し、特に若い葉を好物で発芽したばかりシソ科、ナス科を好む傾向が見受けられます。
かといって、ナメクジは雑食性です。タンパク質を摂取しないと成長出来ませんので、虫等の動物質も食べます。亡くなったナメクジも食べる時があるようです。
食べ方は、ナメクジの口内には歯舌(しぜつ)と呼ばれる、おろし金のような軟骨性の歯はあり、その歯舌を使って削り取って食べます。
<特徴>
雌同体なので、雄と雌の生殖器官を一個持っています。卵の形状は丸く、色は半透明の白っぽい色をしています。
ナメクジは乾燥には弱く、ジメジメした湿気の多い場所を好み、夜行性なので夜に活動します。
日中は日陰となる鉢やポットの底や小石や落ち葉の下等暗い場所に潜んでいます。畑のマルチの下も住みやすいようです。5~6月のエンドウ収穫が終わった後にマルチをはがすと大小さまざまなナメクジが大量にいます。
よく雨あがりや朝方にテカテカしていて白いネバッとした液体を見かけたこともあるのではないでしょうか?
それはナメクジの這った跡、粘液です。
ナメクジは摩擦に弱い生物ですから、粘液を出してその上を這っていくことで地面との摩擦を抑えて、皮膚が傷つくのを防いでいます。イメージとしては自分で敷いたレールの上を歩いているかのようです。また皮膚を潤す役目もあるようです。
大量発生しやすい時期は梅雨時期。3~11月頃(真夏以外)によく見かけますが、簡易ビニールハウス内は年中被害に遭います。
なぜ大量に発生してしまうのか?
ナメクジは太陽の熱にずっと当たるだけで弱って死んでしまいますし、身を守る殻もついておらず素早く動けるわけでもないとなると天敵にも狙われやすいですよね。
それでも、どうしてこんなに大量に増殖してしまうのでしょうか?
大量発生の原因は、
・雄雌同体であること。
・産卵数が多いこと。
・晩秋から春先にかけて孵化するが一番多いのは春!
ですね。
一匹につき雄と雌の機能や生殖器官を持ち合わせているということは、全てのナメクジが産卵できるということです。しかも1回で約20~60個の産卵します。一生で約200〜300個産むといわれています。初めは数匹だったナメクジがいつの間にか大量になっています。
繁殖力の高さは、ナメクジは子孫を残すうえで大変有利な状況にはあるんですね。生物のつくりには非常に感慨深いものがあります。
また梅雨時期によく被害にあうのは、4月がピークという孵化のタイミングと多湿期が要因の一つでしょうか。
ナメクジの被害かどうかを見分ける方法
「穴だらけの葉を見て、青虫なのかナメクジよるのか判別出来ない」
と思う方もいます。
見分け方の一番のポイントは、
・ナメクジは硬い葉脈は食べない。
ということです。また昼間は隠れて住んでいるので、晴れている昼間には姿をあまり表しません。
ですから、食べた葉の跡が硬い葉脈を残していて、日中姿が見えないようなら、ナメクジの可能性があります。筋のように白く光る這った跡があれば確実ですね。
天敵っているの?
ナメクジを捕食する天敵は、マイマイカブリやコウガイビル、オサムシ、カエルです。
細長いコウガイビルは、庭にある地面に敷いていたシートの裏で発見したことがあります。(上記の写真参考)
天敵かと言われると悩しいところではありますが、広東住血線虫というナメクジに寄生する線虫がいますね。私達人間が生で食べてはいけないと言われる原因のひとつです。
現在の大量に繁殖した庭で考察する限り、天敵が効果的かと聞かれるとそう感じないと思うのは管理人だけでしょうか。
ナメクジの駆除・退治する方法を一覧にしてみました
効果的な方法を紹介します。
一匹ずつ捕獲して駆除する
ナメクジを移植ゴテ等(素手はダメ!!)で捕まえて、硬い床面や石の上で移植ゴテで半分に切ると駆除できます。プラナリアとは違い、切ったら再生はしません。軟体動物ですから良い天気の時に行うと、2時間以内にはどこでやったけ?というぐらい溶けたかのように目立たなくなります。片づける手間がいらないってことです。
もちろん、そうしたことが平気な方やナメクジの数の少ない時の退治方法といえます。
熱湯をかける
100度近くの熱湯をかけることによって、ナメクジの体のタンパク質が凝固して死に至ります。火傷には注意が必要ですが、お金がかからない方法の一つです。人間にとっても害はありません。
大量の塩をふりかける
子ども頃、親や兄弟と一緒に塩をかけて覚えがある方はおられるのではないでしょうか?
塩をかけると、ナメクジは縮んでいきますよね。体の水分を吸い取るので瀕死状態となります。そのような脱水症状を起こしている時に水をかけると戻るので、与えないでください。
ちなみに少量の塩では効果が薄く、逃げます。ですから沢山の塩が必要です。塩害を気にする場所では使えない方法でしょうね。
>>・ナメクジは塩で死ぬ?死なない?体が小さくなる理由(記事)
高濃度コーヒー液をかける
アメリカで高濃度カフェインとナメクジ・カタツムリによる研究がなされています。詳しくは、下の記事で書いています。
>>・ナメクジ駆除にコーヒーが効果あるって本当?【やってみた】(記事)
コーヒーのかすを利用
お次はレギュラーコーヒーの出番です。飲んだ後のコーヒーのかす(コーヒーがら)を再利用して退治出来ます。この退治法もカフェインが起因しています。
駆除の仕方は至って簡単!コーヒーのかすの上にナメクジを落とすだけです。もしくはナメクジの上にかぶせます。
畑周りや庭にばらまいても、忌避する役割が加わって効果がありそうですね。
ビールトラップ
ビールの香りに誘われて、寄ってきます。使い捨て容器やカットしたペットボトルを置いて置き、そこにビールを注いで待ちます。畑なら容器分の穴をあけて、埋めて固定しても大丈夫です。
ビール内にナメクジが入ると溺れ死ぬ仕組みとなっています。
手作りトラップですね。しかし容器が浅いと逃げることもあるようです。
欠点は片付ける手間が必要なところですかね。
なぜナメクジはビールに寄ってくるのか?
ナメクジには嗅覚があり、ビール酵母と麦芽の香りに惹かれて寄ってくるようです。ビール大国ドイツでもその駆除法が使われているんだとか。
市販のナメクジ専用の駆除剤を使う
種類は粒剤とスプレータイプ、地面に挿しておびき寄せるタイプがあります。
有名どころで「ナメ退治ベイト」「ナメトール」「ナメトリンキング」等がありますね。
ナメクジがいそうな場所に蒔くことによって、誘い出して毒餌を食べさせて死滅させます。時間をかけずに手軽に予防・駆除効果を期待できます。
管理人も定期的に予防も兼ねてまいています。ナメクジは軟体動物で夜行性なので、食べて死滅していく光景を見るのは難しいですが、固まった死骸を発見したことはあります。
畑で有機栽培向けのものから犬猫の近くでも安心して使える物まであります。使用する上で注意点もあるので別の記事で紹介しています。
>>・ナメクジ駆除剤おすすめ!野菜や畑の対策に最適なのは?(記事)
家庭菜園で使えるナメクジを駆除・退治する方法は?
上記の一覧には花や野菜の近くでは使えないものもあります。家庭菜園で使えるものをその中からリストアップしてみました。
・捕獲
・熱湯
・ビールトラップ
・高濃度コーヒー希釈液
・コーヒーのかす
・畑用の市販駆除剤(農薬登録のあるもの)
といったところでしょうか。
熱湯は、花や野菜の葉や根付近ではやめておきます。煮えますから。移植ゴテで捕獲し植物との距離を置いてから行います。
少量ならコーヒーがらでの駆除方法を取り入れてもいいですね。しかし大量に使用することは避けます。未醗酵のコーヒーがらを大量に畑にまくと窒素不足を引き起こしますから。コンポスト内で使うことによって、堆肥作りの消臭と退治が同時に行えるので一石二鳥です。
管理人も使っている「ナメトリン」は畑や温室に使用可能となっています。
(※追記)「ナメトリン」は本品は現在販売されておらず農薬の登録もされていないようです。同じ販売元から出ているナメトリンキングはありますが、畑や温室に使用可とは記載されておらず、農薬でもありませんので、別物と考えた方がよいですね。
ちなみに、塩は野菜にとって良くない影響(塩害)を及ぼすので家庭菜園や畑には不向きです。
以上、ナメクジの駆除の記事でした。
今思えば、庭の北側(日陰の場所)で育つ三つ葉はほとんど食われていませんね。独特な香りのせいでしょうかね。