「水不足ではないのに、野菜が徐々に元気がなくなって枯れてしまった。」
「去年より穫れなくなった!収穫数が減少した!」
このような悩みに色々と調べて、連作障害に辿りつかれる方もおられるのではないでしょうか?
対策していないと、一年、二年目と順調に育っていた畑で突如起こります。そうはいっても、少しでも改善してして順調に野菜を収穫していきたいですよね。
実は、管理人も連作障害を経験して、悩まされて、今尚も改善しようと奮闘している一人です。やはり狭い畑ですから、連作を避けることが出来ず、障害が起こった野菜をこれまでに目の当たりにしてきました。
それではこの記事では、連作障害とは何か?その原因と対策方法を紹介します。
連作障害とは何か?
連作障害の基本から説明します。
まず連作(れんさく)とは、毎年同じ場所に同じ野菜や同じ科の作物を植えることです
それで連作障害とは、同じ場所に同じ科の作物を植え続けることによって生育不良になったり、病気や害虫の被害に遭うことをいいます。収穫量も低下します。
これは実際に目にしてきたことですが、だんだんと弱々しくなって枯れたり、収穫が少ない、またはほぼ実がならないと感じたなら、連作障害の可能性が高いです。根が完全にやられています。
また野菜によって吸収する養分も異なります。同じ野菜を育てるとその養分ばかり吸収される形となりその結果土壌中の微量要素が過不足状態となり、生理障害を引き起こします。他にも温度の変化によるストレスによっても起こります。
どんな症状が出るの?
<土壌中の代表的な害虫や被害>
「ネコブセンチュウ」
ネコブセンチュウ(線虫)は、野菜の根に寄生して養分を吸います。また植物の根にコブが幾つも出来ることによって、植物が根からの養分や水分を上手く吸収出来なくなってしまいます。結果的にしおれたり、枯死する原因となります。一度なると、根絶は難しいですね。
この写真の野菜は、ゴーヤの根です。
<線虫の被害にあう主な作物>
◎サツマイモネコブ⇒キュウリ・メロン・スイカ
◎キタネコブ⇒タマネギ・落花生・テンサイ
◎アレナリアネコブ⇒トマト・ナス・キュウリ
◎ジャワネコブ⇒キャベツ・ジャガイモ・葉タバコ
>>・ネコブセンチュウの対策と防除は?大量発生した畑で試したこと(記事)
「ネグサレセンチュウ」
同じく、線虫で根に侵入することによって被害が出ます。進行が進むと根が黒く変色して、腐敗します。そして侵されて野菜が枯死します。
<線虫被害にあう主な作物>
◎ミナミネグサレ⇒サトイモ
◎キタネグサレ⇒人参・大根・レタス
◎クルミネグサレ⇒イチゴ
<代表的な土壌障害>
「青枯れ病」
細菌による土壌伝染病であり、症状としては緑色の状態を残したまま急にしおれます。トマト等のナス科の野菜での被害が多いです。
「つる割れ病」
土壌にいる糸状の細菌が根に侵入することによって起こります。特に、キュウリ等のウリ科の野菜、サツマイモ等のヒルガオ科の野菜に多く発生し、日中につるがしおれていくようになります。
<生理障害>
主な障害の一例
・窒素過剰⇒樹勢旺盛となり、葉は茂ってはいるが実がつきにくくなる。トマトは下葉が巻く。
・カルシウム欠乏⇒主にトマトの実に尻腐れを引き起こす。ナスやピーマンでも起こりうる。
・マグネシウム欠乏⇒葉脈の間の葉部分が黄色化していくこと。
連作障害の原因
連作によって、なぜ被害にあってしまうのでしょうか?それは土壌の状態にあります。
土には多種多様な微生物が存在していますが、土壌成分のバランスが狂うと、微生物に影響を及ぼします。
具体的に言うと、同じ科の作物を作り続けるとします。すると根っこ周辺にはその植物を好む微生物が大量に増殖します。結果、土壌内の生態系バランスが崩れて病原菌や病害虫の増殖を抑えることが難しくなり、植物の生育に影響を及ぼします。それで障害になってしまうんですね。
上記のことを踏まえての対処法は、病害虫の除去と土壌の生態系バランスを整えることを念頭に置くことですね。
連作障害の対策方法
対策には何があるのでしょうか?
①輪作する
輪作とは同じ科ごと野菜をローテーションしながら植えていくことです。やはりこれが理想です。菜園計画でこの点を意識しながら立てる方がほとんどではないでしょうか?
とはいっても、狭い土地や小さな畑、プランター栽培の家庭菜園において輪作は難しいものとなっています。キュウリやゴーヤといたつるものやトマト等の背丈の高くなる野菜の位置が固定されてしまうからです。ですから広い畑でない限り、連作は付き物、仕方がないものだと割り切って別の方法(例えば土壌改良等)を試します。
②太陽熱による土壌消毒。
米ぬかをまいてすき込み、透明のマルチを張って約1ヶ月放置して太陽熱によって消毒するというやり方があります。
③有機物を入れて土壌状態を良くし、植物を元気にさせる。
④土壌に善玉菌を入れる。
⑤エサ投入し、優位となって増え過ぎたセンチュウや糸状菌を抑制させる。
例えば、有機肥料のカニ殻を使います。連作障害の原因菌の一つ、フザリウム菌はキチン質で出来ています。一方、カニ殻にも同じキチン質が含まれています。
土壌内には数多くの微生物がいますが、その内の放線菌はキチン質を餌とします。
ですから、その放線菌を増殖させることによって、キチン質体のフザリウム菌を減らすことが出来るということですね。
放線菌が増えることによって、今まで優位になっていたセンチュウや糸状菌を抑制させることも出来るので、連作障害の軽減につながります。
⑥病気に強い接ぎ木苗を植える。
⑦コンパニオンプランツを混植する。
センチュウ対策には、マリーゴールドが有名ですね。マリーゴールドの根には線虫を殺す物質がある為、線虫が根に侵入すると死滅させることが出来ます。マリーゴールドをすき込むことも良いといわれています。
ナス科のトマトやナス、ピーマンとマメ科と混植することによっても回避出来ます。
⑧緑肥作物やトウモロコシの葉をすき込む。
緑肥作物(クロラリア等)を土にすき込むことに得られる効果をトウモロコシ(葉と茎)を代用して行うことが出来ます。
単子葉植物の根を好む微生物も含まれる為、土壌内の微生物の偏りを減らせます。加えて、トウモロコシが蓄えた養分も入れることができます。しかし、分解までに2か月程かかります。なるべく早いうちにすき込んで、秋植え野菜までには間に合わせたいですね。
⑨農薬を使用する
あまりにもセンチュウが増えすぎた場合や限界を超えた場合は、農薬で駆除することも考えます。
以上、連作障害の原因と対策でした。