いざ、花や野菜の種をまこうとする時に、
「どのくらいの深さで土の穴をあけるのか?」
「覆土は薄っすらなのか、厚くかけてしまっていいのか?」
とあれこれ悩んで、先に進めなくなってしまう方は多々あるかと思います。特に多品目・多種類の種を播種(はしゅ)されている方にとっては混乱する要素の一つです。
一般的に覆土に関して、種子のサイズの2倍(時には3倍)を土を覆ってやれば良いのですが、タネによっては発芽時に光があることで促進されるものもありますね。つまり覆土をほぼ必要としない植物です。ですから、今回は種を発芽させる為に必要な要素『光』に焦点を当てて考えます。
よく趣味の園芸や野菜をご覧になると、種まきの場面で必ず出てくる言葉があります。
『〇好光性種子』
『●嫌光性種子』
の二つですね。これを意識していないと発芽率がグンと低下しますし、芽が出てこないことさえありますからとても大切です。
では、「あれ、どっちだっけ?」と悩む方向けに、好光性と嫌光性の種子を一覧にまとめました。
好光性種子と嫌光性種子とは?
まず種の発芽には、①水分・②温度・③空気(酸素)の3要素の他に、④光に影響する植物もあります。この④に該当するのは好光性と嫌光性種子と呼ばれているタネのことです。
光に影響を受けるものもあれば、受けない植物もあります。それを中間性(非光感受性)植物といいます。言い換えると、全ての植物が発芽において光との要素と関係しているわけではないんですね。
また光の影響は、発芽の温度やタネの休眠状態によって変わってきます。例えば、ゴボウは変温下の場合のおいて明暗の影響はあまり変わらないと言われています。
好光性種子
好光性種子の読み方は、「こうこうせいしゅし」です。
別名:明発芽種子(めいはつがしゅし)・光発芽種子(ひかりはつがしゅし)
口頭より漢字で見ると、わかりやすいですね。なぜかパソコンだと向光性種子と変換されてしまいますが。
好光性種子とは、発芽する為に光があると促進される植物の種のことです。光が必要ということですね。逆に、厚く覆土をかけてしまったり、暗い状態では発芽抑制してしまいます。
なぜ発芽に光線が当たることが条件なのでしょうか?
好光性種子は割と小型や細かい種が多くみられます。種が小さく貯蔵養分量が限られている為に暗くて深い所から地表へと芽を出すことが出来ません。ですから、地表近くの明るい場所で発芽することによって生存率を高めていると考えられています。
好光性種子は、光合成する為に有効的な赤色の光で発芽を導きます。他の野菜の陰になると、赤色の光がその野菜の葉緑体によって吸収される為、光合成が困難となる環境となります。その為、光合成にちゃんとできる環境下で発芽することによって生き延びる為の方法をわきまえているのかもしれません。
嫌光性種子
嫌光性種子の読み方は、「けんこうせいしゅし」です。
別名:暗発芽種子(あんはつがしゅし)
嫌光性種子とは、光によって抑制される種のことで、光線を必要とせず暗所で発芽します。覆土をして光を遮らないと発芽不良となります。好光性種子と真逆ですね。
好光性種子と嫌光性種子の一覧【花と野菜】
種まきの時にご参考にしてもらえたらと思い、花と野菜の種類を一覧にしてみました。
膨大過ぎる量なので、随時追加していこうと思います。
好光性種子の一覧
花きをリスト化するって難しいですね。商品名・和名・学名・品種名といった別の名称で呼ばれることがありますから。例えば、ラークスパーとか。別名は千鳥草です。
また流通・商品名においては、他社との差別化をはかったり、育種等で独自のオリジナル名を付けることもありますしね。少しややこしく感じます。
花(草花・花き)
とりあえず、国内で一般に知られている流通名の頭文字で一覧にしてみました。ア行順です。
品種名でよく呼ばれている植物の場合は、植物名+品種名で載せています。
<ア行>
アゲラタム
アスター(エゾギク)
インパチェンス(ニューギニアインパチェンスも含む)
エキザカム
オダマキ
<カ行>
ガイラルディア(テンニンギク)
カルセオラリア(キンチャクソウ)
カンパニュラ
キンギョソウ
キキョウ(モモバギキョウ)
グロキシニア(オオイワギリソウ)
クリサンセマム
ケイトウ
コリウス
<サ行>
サイネリア
サルビア
サルビア・ファリナセア
ジキタリス(フォックスグローブ)
シャスターデージー
シレネ
<タ行>
トレニア
トルコキキョウ
デージー(ヒナギク)
<マ行>
マツヨイグサ
マトリカリア
マツバボタン
ミムラス
<ナ行>
ナデシコ
<ハ行>
パンジー
ハナタバコ(ニコチアナ)
ビオラ
プリムラ(マラコイデス・セイヨウサクラソウ)
ベゴニア
ペチュニア
ペンタス
ベビーローズ
<ヤ行>
ユーストマ
<ラ行>
リビングストーンデージー
リナリア(ヒメキンギョソウ)
ロベリア
<ワ行>
ワスレナグサ
他には、長年愛でている多肉植物のメセン(リトープス)も好光性です。
余談ですが、秋植えの定番でもあり主役級の花「パンジーとビオラ」は好光性種子です。
管理人も去年、パンジーの虹色スミレ(サカタのタネ)を播種しました。10年前以上昔にリカちゃん人形とコラボしていたパンジーですね。ご存じの方はおられるでしょうか。
野菜
こちらは科名ごとです。ハーブも含みます。
<アブラナ科>
キャベツ・芽キャベツ・ブロッコリー・カブ・コマツナ・カリフラワー・ツケナ類
<キク科>
玉レタス・リーフレタス・チシャ(チマサンチュ)・ゴボウ・シュンギク
<シソ科>
シソ・バジル
<セリ科>
ニンジン・ミツバ・セルリー(セロリ)・スープセロリ(キンサイ)・パセリ
<ハマミズナ科>
アイスプラント
<バラ科>
イチゴ
嫌光性種子の一覧
続いて嫌光性種子です。発芽に覆土が必要なタネですね。
花(草花・花き)
こちらも一般に知られる流通名でア行順に並べてあります。
<ア行>
オジギソウ
<カ行>
ガザニア
キンレンカ
<サ行>
シクラメン
シザンサス
ジニア(百日草)
<タ行>
チドリソウ(ラークスパー)
デルフィニウム(ヒエンソウ)
ナスタチウム
<ナ行>
ニゲラ(クロタネソウ)
ニチニチソウ(ビンカ)
ネモフィラ
<ハ行>
ハゲイトウ(アマランサス)
ハナビシソウ(エスコルチア)
ブプレウム
<マ行>
マツバボタン
<ラ行>
ルピナス
<ワ行>
ワスレナグサ
野菜
次は嫌光性種子の野菜のタネです。
<アブラナ科>
ダイコン
<ナス科>
トマト・ナス・ピーマン・シシトウ・トウガラシ
<ウリ科>
キュウリ・ゴーヤ・シロウリ・マクワウリ・メロン・ヘチマ・ユウガオ・カボチャ・スイカ・トウガン
<マメ科>
大豆
<ユリ科><ヒガンバナ科>
ネギ・タマネギ・ニラ・ニンニク・ラッキョウ・ワケギ・リーキ
蒔き方は?【好光性種子と嫌光性種子】
それぞれの播種方法です。種まきした後、水切れを起こすと発芽不良となります。種蒔きから発芽後の小さな株の期間は、水の管理が特に重要です。根がしっかりと活着してもすぐ枯れます。
好光性種子の場合
薄く土をかぶせるだけで大丈夫です。又は覆土しなくても種まき出来ますが、水やりで種が流れる可能性があります。好光性種子の場合は、乾燥に注意が必要です。
他には、水で十分に湿らした土に種を蒔いて、底面給水する方法もあります。
覆土が厚いと発芽率が非常に低下します。
この時覆土しただけでは、発芽が揃わないこともあるので、手で鎮圧してあげると良いです。
嫌光性種子の場合
種子のサイズの2倍(時には3倍)の土でしっかりと種を隠し、覆土します。その後、軽く手で鎮圧します。なぜ鎮圧するかというと発芽が揃うからですね。
以上、好光性種子と嫌光性種子の一覧や蒔き方でした。