ナメクジの駆除といえば、「塩をかける」と答える方は多いのではないでしょうか?その理由として「子どもの頃、親がそれで退治していたから。」と言われる方がほとんどです。
害虫扱いされるナメクジ(実際には虫ではありませんが)、果たして塩をかければ死ぬのでしょうか?まとめてみました。
ナメクジに塩をかけたら死ぬ?それとも死なない?
まず結論から申し上げます。
「死ぬ時もあれば、死なない時もある。」
ということです。
なんじゃそりゃ!?と思られたかもしませんが、実は一見、死んだように見えても、塩のやり方や量を一歩間違えると退治出来るどころか逃げることもあるからです。
また雨降り日など、雨や水の当たる場所で塩をかけても死なない可能性もあります。では、そもそもなぜ塩をかけるのでしょうか?
ナメクジが塩で死ぬ理由は?
塩をかけたらどうなると思いますか?
ご存じの通り、小さくなります(縮みます)。
塩で体が小さくなる理由
ナメクジの体の約85~90%は水で出来ています。水分量は体に占める割合に対して多いのです。ちなみに、人間の水分含有量は、成人の体で55~60%、新生児は約80%です。
そこに塩が付着すると浸透圧の関係によって体内の水分が奪われ、瀕死状態になります。
さて「浸透圧(しんとうあつ)」となんでしょうか?
半透膜の両側に濃度の異なる2つの食塩水がある場合、水が半透膜を通過し濃度の低い液から高いの液体へと移ります。このように濃さに同じにしようとする圧力、濃い液体が引き寄せる力、のことを「浸透圧」といいます。
またナメクジの皮膚の構造は水が通りやすくなっていますから、水分がどんどん吸い出されて失ってしまう為、体が小さくなるわけですね。
塩で溶けたと感じる理由
そもそも塩で溶けるとよく言われていますが、それは誤解で実際には溶けているわけではありません。
けれど、こう反論されそうです。
「塩をかけてしばらくすると、溶けたようにいなくなったことを確認したんだ!」と。
確かに縮んでいく状態を見ると、溶けてみえますね。
加えて、溶けた=死んだと思う方も多いかもしれません。
それって本当に溶けて死んだのでしょうか?
ナメクジは粘液を出して、自分の皮膚を守ろうとします。よくナメクジが通った道筋に見かける白っぽいテカテカしたものですね。皮膚に異物(塩等)が付着したとしても粘液によって守られ、必死に逃げようとします。
そして逃げた後で観察すると、死骸もなく粘液のみ残っているのを見たら、「塩で溶けた」と勘違いしてしまうことも仕方がないことかもしれません。
【重要】ナメクジが塩で死ぬようにする為には正しいやり方で!
間違ったやり方だと、ナメクジは死にません。
ですから塩で駆除する時のポイントは、
・大量にかける。又は、かけ続ける。
・雨の当たる場所では行わない
ことです。
中途半場に塩が少なければ、粘液を出して異物から身を守り、大抵は逃げます。おそらく体内の水分の半分以上は奪わないと生き残る可能性が高くなります。これが死なない理由の一つです。
ナメクジを発見する時って、大体は雨天時が続いたり、雨あがり時にもっとも多く見かけます。そんな時に玄関や家の壁に這い上ってきたり、風呂場まで入ってくると慌てて塩かけたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、これだけは覚えておいてほしいです。
縮んだ状態で水がかかるとナメクジは復活します。
せっかく水分が奪われて脱水状態になっているのにどんどん水を吸収して生き延びます。生命力が強くないと、ここまで繁殖しませんからね。代表的なチャコウラナメクジなんて、戦後50年で日本全国に広がったと言われている程です。
きちんと駆除する為には、体内の水分量を50%以下にする為に、塩を大量又はかけ続けます。そして雨や水がかからない場所で行うことが大切ってわけですね。
実はナメクジは塩の代わりに「ある物」でも死ぬ
それは「砂糖」です。塩同様、浸透圧の作用によって脱水症状に至らせることができます。
ただし、漬物や料理をする方ならご存じかと重られますが、砂糖は浸透圧の力は塩より弱いです。ですから時間と沢山の量が必要です。
そもそも屋外で使用する場合、他にアリ等他の昆虫をおぼき寄せることになりかねませんから、ちょっと抵抗がありますね。
塩以外にもコーヒーでも縮みます。こちらは浸透圧によってではなく別の作用によって駆除可能なことを実験によって確認済です。しかも手軽に使えるインスタントコーヒーによってです。
他にもあります。