「昔おじいちゃん達が食べていたと聞いたことのある野菜は?」
「ずいきです」
と答えられる方も多いのではないでしょうか?
「ずいき」は、サツマイモのつるで戦中・戦後の食糧不足時に食べていた食べ物で、おばあちゃんがよく作ってくれた思い出の食べ物いう方もいます。
最近は家庭菜園で、子供が喜ぶ為にサツマイモを植えられる方が多くなってきました。
そんな時芋は大事に収穫して、サツマイモのつるは捨てていませんか?
つるの部分でも美味しく食べられる部分があるのです。栄養もきちんとある立派な食糧ですので、捨てるのはもったいないです。
管理人も毎年、サツマイモの品種「安納芋」を栽培しています。収穫時や収穫間近に伸びたつるを切って食べることもあります。(時々フライングして2週間前辺りに少し味見してしまう時もあります。やり過ぎる禁物ですけどね。葉は光合成をして芋を太らせる為にありますから。)
それではサツマイモの葉と茎についての知識を芋の収穫のように掘り下げてみました。
サツマイモの葉っぱの栄養価
こちらは、品種名コガネセンガンとベニアズマでの成分分析です。
ミネラル成分も Table 2 に示すとおり葉に多く含まれ,特に鉄は湿重量 100 g 中 KS で5.4 mg,BA で 5.5 mg,カルシウムは 187 mg,174 mg,マグネシウムは 79 mg,107 mg と今日の食生活で不足しがちな成分の含有量が高かった。またビタミン類は測定したすべての成分が葉に高い含有を示し,カロテン,ビタミン B2,ビタミン C,ビタミン E など緑黄色野菜に近い含有が認められた。
出典元:石田 裕、『サツマイモ(Ipomoea batatas Poiret)葉の機能性および食品への応用』
日本調理科学会誌 Vol. 42,No. 4,215~224(2009)
緑黄色野菜に近い野菜の一つなんですね。
論文の一部をそのまま引用したので、数値など読みづらくなってしまいましたが、栄養素を確認してみると、芋の部分より栄養価自体が高いのがわかるのではないでしょうか?
マグネシウムとカルシウムを一緒に一緒に摂取することは、相互作用の働きにより骨や歯を強くするといわれていますし、ビタミンは免疫力を高めます。美容にも良いといわれていますね。
葉や茎は茹でるとかさも減りますから、食物繊維も効率よく摂取できそうです。
サツマイモの葉っぱを【生のまま】で食べてみました。
生で食べれられるのだろうか?と疑問に思い、掘り下げてみました。
実際、種苗会社の展示会で、植わっている新品種の野菜をその場で包丁で切り、実食し続けるという経験もしているので、何ら抵抗もありません。
もちろん知っている野菜に限ります。植物(花や葉、種)、未知の世界のキノコ類は毒が含まれているものが多数ありますからね。
サツマイモの葉を綺麗に洗い、ちぎって生のままで食べてみました。
生で食べたのは、この二つです。
①新しい紫色の葉っぱ
②古い大きくて緑色の葉っぱ
味は、二つともクセもなく苦味はありませんでした。
ネット検索すると苦いって書いてありましたけど、栽培環境や時期的なものによるのでしょうかね。
食感は、
①の新しい葉っぱの方は美味しくいただけました。
②の古い葉っぱの方はザラザラした食感で案の定不味かったです。葉をよく見てみると産毛のような白い毛(もうじ)がびっしりとついています。そのせいでザラザラしていたのでしょう。
結論、クセも苦味もないですが、ただ新しい葉の数も少ないので火を通した方が良いと思います。もしこれから食べられる方は自己責任でお願いします。
さつまいもの葉っぱの食べ方
収穫又は購入した葉や茎をしっかりと水洗いしてから、葉と茎を切り離して使用します。
この後、茎は皮を剥いて下処理しますが、詳しくは「サツマイモの茎の食べ方」をご覧ください。
茹でる?炒める?どっちが美味しい?
生で葉っぱを食べた時に、ふと「茹でる」と「炒める」、どっちが美味しくいただけるのか?
とまたもや気になりましたので、水でさらした葉っぱで試してみました。
①炒める→野菜炒めのようにそのまま投入
大きめに切り過ぎたのか少々硬くて、家族にも不評でした。
②茹でる→みそ汁の具として投入。(後日写真撮ります。)
こちらは美味でした。ほうれん草を茹でたのと同じような柔らかい食感になりました。
結論、個人的に茹でた方が食べやすいです。炒め物に使うにしても、湯がいてから料理した方が美味しくなるかと思われます。
葉っぱは下茹でする?
上の記事でわかるように、下茹でする方が美味しいです。サッと短時間で湯がくだけで大丈夫です。水でさらすより更にアクも抜けるような気がします。
葉の料理方法
和え物・炒め物・汁物の具に入れて食べることができます。汁物に入れる時つい欲張って入れ過ぎると青臭くなりますので気を付けてくださいね。
細かく切って、スパニッシュオムレツにすると野菜嫌いな子どもも喜んで食べられそうですね。基本的にほうれん草のような食感ですから同じような調理方法で良いかと思います。味はサツマイモ的な独特の甘さがあるような気がしますが。
サツマイモの茎、食べる部分を勘違いしていませんか?
昔「ずいき」はサツマイモのつるだと教わったことがありました。
そもそも食用できる部分ってどこなんでしょうか?
答えが、そんなのつるの部分でしょうと答えられた方は残念ながら間違いです。ツルといえば、下の写真の中で「茎」の部分のことをイメージしますね。ですが、この太い部分はかたくて食べられません。
それでは一体、食べられる部分はどこなんでしょうか?
答えは、葉とつながっている葉柄(ようへい)の部分を食べるんです。
(※注意)以下の記事では一般的に呼ばれている名称「茎」で書いています。ですから茎=葉柄と思って読んでください。
サツマイモの茎の食べ方
調理する前に、茎の薄皮を剥きます。
茎の下処理する時、皆さん、ふと次の疑問がわきませんか?
「本当に皮むきしないといけないの?」と。
皮を全て取り去る作業って大変ですし、少しでも楽をしたいですよね。
そこで皮付のまま下茹でして食べてみました。
茎の皮を剥かずに食べた感想は?
最初に、あまりにも太い茎は一部分(一皮?)だけ剥きました。
調理方法は、めんつゆちマヨネーズ和えです。
食べた感想は、硬さ的には多少硬いかなと思う程度で問題なく食べられました。
細くて短い茎もそのまま切らずに美味しくいただけます。
ただし!!!
普通~太い茎は、噛む度にきゅるきゅる音とします・・・。
例えでいうと、雨で靴がぬれたスニーカーがツヤのある床を歩く時、きゅききゅき音しますよね。そんな感じの音が口の中からします。
これは手抜かない方がいいかなと思いましたね。
<結論>食感や味を染み込ませる為にも、皮を必ず剥いた方がいいと思いました。手間をかける分一層美味しくなります。もしかしてこの後、更に炒めたり、茹でるなら気にならなくなるかもしれません。
といっても、一部分取り残しがあるぐらいなら大丈夫ですよ。十分いけます。
皮は取りやすいので、家族、主にお子さんやお孫さんに手伝ってもらえますよ。夢中になってやってくれます。
まず大人がちょっとだけ皮を剥いて渡すなら、子どもは大変めくりやすくなります。
「ちょっと」とは下の写真のような感じです。バナナのような形ですね。サクッと剥いてくれるので、大人が慌てながら準備する程です。
皮むきは細い方からちょっと厚めに皮をむくとやりやすいです。更に先端をポキっと折るとそのまま皮ついてくるので、楽になります。
茎の料理方法(レシピ付)
料理方法は、佃煮、きんびらや煮びたし等があります。
こちらは、サツマイモの茎のきんぴらです。とても好評でした。
葉っぱと茎の保存方法は?
冷蔵保存の方法は?
葉も茎も生のままで冷蔵保存する場合は、よく洗った葉をキッキンペーパーで包んでビニール袋に入れて保存します。
次の日までに食べ切ると傷みも少なくて良いと思います。
経験上、葉っぱは2日後までは茹でて食べましたが、お腹痛くはなりませんでしたが、ご自身のお腹の調子で判断してくださいね。
新鮮な内に料理した方が美味しいので、佃煮やきんぴら等の料理してから冷蔵保存すると次の日は味が染み込んで一段とと美味しくなります。
冷凍保存の方法は?
葉も茎も下茹でします。葉は水でさらして軽くしぼるように水を切ります。その後は一回で食べられる量に小分けしてから、ジップロックに入れると便利です。
サツマイモの葉っぱや葉柄は、豊富に収穫することが出来ます。昔の時代と同様、今後食糧不足になった時に救世主の野菜となりそうですね。今から昔の知恵を試しておくと慌てなくていいのかもしれません。
緑黄色野菜に近い昔懐かし野菜を人生に一度は味わってみてはいかがでしょうか?